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美しいバイオレンスアート
この映画は石井隆監督にとって初めて”R”のつかない映画。ファムファタルという監督の会社名通り美しい女優をセクシーに演出するのがこれまでの特徴だった。ファンが求めるそんなイメージをできるだけ壊さず、今回は若い女性にも見てもらえる映画を残した監督。バンクーバーとロッテルダム国際映画祭では、現地のインタビューに明るく答えファンとの記念撮影に気軽に応じていた姿が印象的だった。
石井隆監督はポルノやヤクザ映画の監督というより、上品で人間味のあるアーチストという雰囲気があった。そんな彼がコロナ時期に逝った。日本の巨匠監督として世界に通じる本物映画をまだ作れただけにすごく残念だ。
GONINサーガについて
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この映画は3回見た。2回は映画祭の劇場で、そして3回目は監督が送ってくれた長編のDVD。石井監督が映画の脚本も務めただけに、ロングバージョンでは小説のように1つ1つのシーンを丁寧に描いている。劇場で見落とした登場人物の因果関係、運命や宿命をわかりやすく説明してくれる貴重なDVD。映像に迫力があり満足できる169分なだけに、劇場用編集は辛くて大変な作業だっただろうと感じる。
主役を務めた東出昌大、桐谷健太、土屋アンナ、井上晴美は演技が光って安心して見れる俳優陣だ。特にアンナには監督が撮影前に「後ろから思いっきり撮るからね」とお願いしたぐらいスタイルが抜群。また出演は短くても、佐藤浩市、鶴見慎吾ら前作のベテラン俳優のエネルギーも味わえる。
最後は前作の5人サーガと同じように5人で終わる。大きな感動もあり、やはり劇場ならではのアート映画だ。巨大なセットやスタントを使ったバイオレンス作品時代に終止符をうつような大作映画をぜひ見逃さないで。
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